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"The Summer Book" by Tove Jansson [文学]

残暑お見舞い申し上げます。

Art-U roomは8月15日〜22日の間夏期休廊させて頂きます。トゥン・ウィン・アウン&ワー・ヌ「幾つかの(白い)作品」展は、引き続き休み明け23日より28日まで開催致しますので、まだご覧になっていない方はぜひご来場下さい。

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先月のフィンランド旅行の際、帰りにヘルシンキ空港のムーミンショップを覗いていたらこんな本を見つけました。トーベ・ヤンソンというとムーミンシリーズしか知らなかったけど、こんな本も書いていたんだなぁと思って買って読んでみたら意外に面白い。夏休みをアーキペラゴの小島で過ごす女の子ソフィアとそのおばあさんの話で、海と湖の違いはあるものの、数日を過ごしたアヌ&ユッカさんの島のことを思い出しながらちびちび読んでます。ちょっとした描写に、アヌさんの作品にも通じる感性が感じられるところもあり、例えばこんな箇所。

 They picked out stones that hadn't been worn completely round and threw them out into the water to make them rounder.(二人はすり減ってまだ完全に丸くなっていない石を見つけては、もっと丸くするために海に投げ入れました。)

年齢のかけ離れた少女と老婆の歯に衣着せぬやり取りに思わずクスッとする場面もしばしば。夏休みのお供に携えるのにお薦めです。「少女ソフィアの夏」というタイトルで、講談社から翻訳も出ています。

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冬ごもり [文学]

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現在好評開催中のピナリー・サンピタック「紙の痕跡と空飛ぶ立方体」、会期も残すところあと2日となりました。年明け早々に参加するArt Stage Singaporeの集荷も本日終わり、ようやく一段落した感じ。年の暮れはゆっくり本でも読んで過ごそうと思い、早速帰りに青山ブックセンターへ。そしてあれこれ迷いながらチョイスしたのが写真の三冊。右からまずはハズすことなく楽しめそうな吉田篤弘の「小さな男*静かな声」。さすが装幀も気が利いています。次いで少し重めかもしれない古井由吉「辻」。古井由吉の作品はだいぶ昔に「杳子」を読んで強烈な印象を覚えたもののそれ以来ご縁がなく、今日たまたま新書コーナー(引越しの際の恐怖が身に染みているので普段は文庫コーナーしか見ないことにしている。)で見つけて思わず購入。そして最後は懐かしの「コロボックル物語」シリーズ「だれも知らない小さな国」。友人のコパマネさんのブログでも紹介されていましたが、このシリーズ僕も小学生の頃の愛読書でした。さあ、あとは湯たんぽが入ったぬくぬくの布団の中で読むばかり。だけど一旦読み始めると昼夜逆転の生活に入ってしまうのでもう少し我慢なり。

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「つむじ風食堂の夜」 [文学]

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皆さん、季節によって読み返したくなる本ってありませんか?例えば僕の場合、夏になると本棚から引っぱり出してくるのは湯本香樹実の「夏の庭」やよしもとばななの「TUGUMI」、それに山田太一の「異人たちとの夏」等。そしてどうやら朝晩涼しくなってきたこの季節に読みたくなるのは吉田篤弘の「つむじ風食堂の夜」。ひと晩で一気に読み返してみたけどやっぱり面白い。人工降雨を研究しているという男を主人公に、とある街角の食堂に夜な夜な集う一癖ある人々の人間模様を描いたものだけど、どこか懐かしくてしみじみとした雰囲気の中、思わず吹き出してしまうような場面があったり、急に「宇宙の果て」について哲学的な考察が始まったり…。続けて吉田篤弘さんの他の作品も何冊か読んでみましたが、今のところ一番のお気に入りは「百鼠」に収録されている「到来」という短編。第一章という形で終わっているので、ぜひ続きを読んでみたい気がします。

あと最近読んだのは堀江敏幸の「めぐらし屋」と「雪沼とその周辺」。時々思わず「上手いっ」と唸ってしまう様な見事な文章でした。読書の秋も間もなく本番。皆さんも何かお薦めの本がありましたらぜひ教えてください。

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