稲垣智子「Forcing House」開催中。 [展覧会 / room]
現在Art-U roomにて開催中の稲垣智子個展「Forcing House」、早くも会期前半を終え折り返し地点を迎えました。遠方から来られた方や久々にお顔を拝見する方、連日多くの方々にご来場頂きありがとうございます。今回メインの展示となる「Forcing House」は温室風の構造物を用いた映像インスタレーションで、ご来場者の方は温室の中に入って鑑賞して頂く体感型の作品となっています。大体皆さん5分程で出て来られるのですが、中には温室の中に入ったきり気配が無くなる方もいて、「あれっ、もしや消えた…」とドキリとすることもあります。(そう思うのは、この温室がどこかマジックショーの大道具に似ているせいでしょうか。)
ちなみにネタバレとなってしまいますが、温室の中に置かれている植物は本物のものと造りもののものが混在しており、毎日ギャラリーに来るとまずは霧吹きで葉っぱを湿らせるの日課となっているのですが、ついつい造りものの方にも水をかけてしまう程区別が付きません。初日のトークで稲垣さんが話されていましたが、造花は本物よりも花弁が大きかったり色が鮮やかだったりしてニセモノと分かりやすいのですが、イミテーションの観葉植物に関してはそうした人為的な誇張が少ないため一層本物との区別がつきにくい。対象によって人の美意識の働きかけ方が異なるということを考えるととても興味深く思われます。
ギャラリーの突き当たりの壁には、床から天井まで一面に壁紙状の作品「Night」が貼られ、その上に切り絵を額装した作品3点が飾られています。切り絵の作品はどれも二つ折りにしたミラー紙をカットした後に広げているために左右対称、のはずですが、どこかが違う。稲垣さんの説明では、向かいあった二人に見える人物は、実はひとりの同じ人物であるとのことです。
こちらも擬シンメトリーな構図を持つシルクスクリーン作品「Night」。上の壁紙と同じパターンが使われていて、今回の展覧会のためにアトリエKAVCの協力を得て制作されました。その制作過程はこちらで詳しく紹介されています。
ギャラリー奥の小スペースでは、2004年の個展「soap opera」にて展示したビデオ作品「spring」と写真作品数点を展示しています。稲垣さんが過去に参加した展覧会のカタログやポートフォリオ等の資料もご覧頂けますので、お時間ある方はこちらもどうぞ。
* 3/20 追記
今週TOKYO ART BEATのスタッフの方が来られて、こんなすてきなビデオクリップを作って下さいました。
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