追悼、エリック・ロメール [映画]
今朝ラジオをつけると、いきなり悲しいニュースが耳に飛び込んできました。「ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠、エリック・ロメール氏逝く…」。二十歳の頃に初めて見たロメール作品は確か「緑の光線」。予め決められた脚本も無く、時に役者の即興劇を交えながら撮影されたというこの映画には、いわば芝居として作り込まれた映画とは異なる妙なリアリティーが感じられました。その後もどこかで上映会が開かれる毎に足を運ぶ様になりましたが、ロメールの映画の魅力は、何と言っても個性的な登場人物たちとその心理描写。特にドラマチックな展開がある訳ではありませんが、我々同様ありふれた日常を生きる登場人物たちの心の中で紡がれていく感情の襞を追っている内に、ふと彼らと同じ様な欲望や孤独、希望を抱きながら生きる自分自身の姿を客観的に見ている様な気分にさせます。数々の映画的幸福の瞬間を与えてくれた氏のご冥福を心よりお祈りします。
ロメールが切れると読み返してきた「六つの教訓話」原作集。いわゆる脚本ではなく、それぞれの物語がきちんと小説仕立てとなっていて、ロメールの文才にも感嘆。
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