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水都大阪 / 田中恒子コレクション展 [展覧会 / 他会場]

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水辺の文化座会場。中央に見えるのは淀川テクニックが淀川のゴミを集めて作った作品「金チヌ」。

SWの連休中大阪に里帰りした折りに、現在開催中の「水都大阪2009」のアートプログラム「水辺の文化座」を見学してきました。会場となる中之島バラ園近辺は、本家のアート・遊から近いこともあり東京に店を出す前に時々散歩したことのある場所ですが、その当時はホームレスに占拠され近寄りがたい雰囲気が漂っていました。まだその頃の印象が残っており、また大阪でのアートイベントということでそれ程人は入ってないだろうと勝手に思っていたのですが、いざ現地に着くとバラ園は見違える様にきれいに整備され、しかも想像を遥かに越える大勢の来場者で賑わっていて意表を突かれました。

会場内には作品以外に幾つもの仮設ステージが組まれ、各所で多彩なワークショップやプロジェクトが展開されていました。その様子は美術展というよりもむしろ「お祭り」。会場にて本イベントのメインアーティストの一人である藤浩志さんとお話する機会を得たのですが、会期中良く聞こえてくるのは「あ、あそこにアートがある。」といった言葉だそうで、つまり来場者の多くはこのイベントを「アート展」ではなく博覧会的なものと認識しており、そのことがこれだけ多くの人々を引き寄せる結果に繋がったものと思われます。出展アーティストや関係者の中には、運営上の様々な制限によりもう一歩踏み込めないもどかしさを感じられていた方もいたようですが、それでもこれだけ多くの地元の関心を集めたという点では成功と言って良いかと思います。

P1060926.jpg北側の遊歩道に沿って並ぶのは井上信太さんの作品「サファリパークプロジェクト in 中之島」。良く見ると木の上にも鳥が隠れていたり、サファリ版「ブレーメンの音楽隊」がいたりと、近くにいた子供達も大興奮でした。井上さんとは今から20年程前にパリの安宿で初めてお会いしたという不思議な縁。その後和太鼓集団のメンバーとしてヨーロッパを巡回したり、国内外のあちこちで「羊飼いプロジェクト」を展開したりと、その精力的な活動は同年代の人間として大変励みになります。




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ヤノベケンジ氏のラッキードラゴン号の前で、小沢剛さんの作品に興じる子供たち。「人力噴水」と題されたこの作品は、川岸に並んだ手押しポンプを使って川の水を吸上げ噴水を作るというもの。何人かで協力すると更に高く水が舞い上がります。バイ菌だらけの淀川の水が観客にかかっては衛生上宜しくないという理由で一時封鎖されていたようですが、この日は稼働中。作品自体は単純ながら行列ができる程の人気振りでした。人気作家の小沢さんに「何か」を期待して出展を依頼した主催者、それに対してシンプルかつ的確な(?)作品を呈示した小沢氏。もはや禅問答の域に達してます。


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藤浩志さんの「かえる工房」では、ご本人がおもちゃの集積できた立体を制作中。藤さんはとても気さくな方で、わざわざ手を休めて今回のプロジェクトのことなどを話して下さいました。工房内ではスタッフと来場者が、ペットボトルやハンガーなどの廃材を再利用した装飾オブジェを制作していて、また隣のステージでは、いらなくなったおもちゃを交換する「かえっこバザール」が開かれたいました。


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水都体操なるもの発見!

















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KOSUGE1-16の巨大サッカーゲームは大阪でも大人気。他にも履き古されたスポーツシューズをサンダルやアクセサリーとして再生させるワークショップも開かれていました。











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小腹が空いてきたのでgrafさんのつかの間レストランにピットイン。タイミングよくチャンキー松本さんの紙芝居ライブを見ることができました。チョチョンガチョンボー♫











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小雨が降り始めた中、難波橋の下に停泊したナイトクルーズのボートから好きな「オーバー・ザ・レインボー」の調べが。水都に合わせて色々なコースのクルーズが企画されていて、いつもは船影まばらな淀川も賑やか。先のラッキードラゴン号のクルーズも行なわれていたそうです。










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最後に大阪市役所で「ジャイアント・トラやん」を拝んで帰途へ。大阪市民および府民でも、この度のイベントで初めて市役所の立派な建物に足を踏み入れたという方も多いのではないでしょうか?他にも近くの中之島図書館、日本銀行、適塾、大阪証券取引所などでもアート展示が行なわれていました。








翌日、おけいはんと南海を乗り継ぎ「自宅から美術館へ 田中恒子コレクション展」が開催されている和歌山県立近代美術館へ。田中恒子さんは住居学の専門家として大学で教鞭を取る傍ら、長年にわたってアート作品を収集されてきた関西でも屈指のコレクターで、この度の展覧会は、これまでに蒐集した百人を越えるアーティストによる千点以上ものコレクションの一部を公開したものです。美術館に到着すると、ちょうど展示室内にてご本人がトークをされている最中で、それぞれの作品にまつわる様々な逸話や見所を聴く事ができました。

田中先生のコレクションの特徴は、以前から特に関西在住の若手作家の作品を中心に収集されてきたこと。出展作品には、昨日水辺の文化座でお会いした藤浩志さんの「ヤセ犬」や、中之島図書館に展示されていたヤノベケンジの「森の映画館」の縮小版、名和晃平のPixCellシリーズの初期の作品等も含まれ、太田三郎や野村仁らの貴重な作品からまだ美大に在学中の若手作家まで盛り沢山な内容でした。

田中先生のコレクション方針で共感できるのは、大切な作品でも必要とあらば美術館に惜しげも無く寄贈されていること。このことによって多くのアーティストの重要作品がマーケットに流出するのを防ぐと共に、作家のキャリアアップにも繋がっています。先の現代アートブームの際に、投機目的でごっそり青田刈りされた若手作家の作品の多くが、リーマンショック以降一斉に売りに出されオークションを転々としている現状を見ると、田中先生の様な方に作品をコレクションしてもらったアーティストも、またその仲介をさせて頂いたギャラリストも本当に僥倖であると思います。会期は11月8日まで。土・日・祝日は田中先生も在館されており、直接ご本人とお話しすることができます。

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田中恒子コレクション展より、屋外に展示されていた北尾博史さんの作品「アシモトノセカイ」。2002年に開催された「under construction」で作品を見て以来気になっていた作家ですが、先月のART OSAKAにて、扱い画廊のGallery TAFさんの部屋に素敵な新作が並んでいたのを見て、堪らず小品を1点購入してしまいました。


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