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チャン・ユンチア「水域」 [展覧会 / room]

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チャン・ユンチア「水槽」(部分) 油彩・キャンバス、2015年、75x150.5cm

Art-U roomでは来週2月5日(金)より、マレーシアのアーティスト、チャン・ユンチアによる個展「水域」が始まります。中国系移民の三世として1975年クアラルンプールに生まれたチャン・ユンチア(章永佳)は、マレーシア芸術学院にて絵画を専攻し、卒業後これまでにマレーシア国内外にて数多く作品を発表してきました。彼が用いる技法や素材は多岐に渡り、2005年の第3回福岡アジア美術トリエンナーレでは刺繍によるワークショップを開催したり、2013年に横浜美術館と熊本市現代美術館を巡回した「Welcome to the Jungle 熱々!東南アジアの現代美術展」では、食器として用いる陶製のレンゲに絵を描いた作品「芭蕉の娘」を出展しています。またユンチアは、海外のレジデンスにも多く参加しており、札幌のS-AIRに滞在した際には、北海道産のホタテ貝や蟹の甲羅にペイントを施した作品、また、インドのバンガロールのレジデンスでは、地元の植物園で採集した葉に手を加えたこんな素敵な作品も作っています。

本展で展示される新作の油彩画16点は、昨年の夏から4ヶ月弱という短期間に一気に描き上げられました。ここ数年来、大量の切手を細かくカットしてコラージュするという大変手間のかかる手法による製作に専念していたユンチアですが、その間に普通の油彩画が描きたいという気持ちがふつふつと高まっていたのだそうです。ユンチアによると、この「水域」の連作を描き始めた時には特にテーマを定めていなかったものの、作品を描き進める内に次第に「水」のイメージが浮かび上がってきたとのこと。完成された作品には、海や川、雨など水にまつわる様々な場面が、ユンチアの幼少期の記憶や空想からマレーシアの風土や歴史に関するものまで、ヴァラエティに富む題材と織り交ぜられながら寓話風に描かれています。そう言えば完成した作品の画像を初めて目にした時、ふと、金子光晴の「マレー蘭印紀行」のことが頭をよぎりました。放浪の詩人が戦前のマレーシアを旅した体験を綴ったこの紀行文の中でも、密林の中を這う様に縫って流れる川や、真夜中の突然の驟雨といった「水」に関するイメージがとても印象深く描かれていたからかもしれません。

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チャン・ユンチア「月光」  油彩・キャンバス、2015年、85x66cm

なお、展覧会初日2月5日(金)夕刻からのオープニングレセプションには、ユンチア本人の他に、奥さんでライターのミンワさん、それにマレーシアを代表する現代アートギャラリーRichard Koh Fine Artのオーナーのリチャードさんも出席されます。特に予約などは不要ですので、皆さまどうぞお気軽にお立ち寄り下さい。

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チャン・ユンチア「水域」 Chang Yoong Chia 'Body of Water'
会 期:2016年2月5日(金)〜28日(日) 
    火〜土曜 12:00-19:00 日曜 12:00-17:00  月・祝休廊
    オープニングレセプション 2月5日(金)18:00-20:30
会 場:Art-U room 渋谷区神宮前5-51-3ガレリア3F (Google map


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