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Armory Arts Week 2013 [イベント情報]

ニューヨークのフェアより戻って参りました。今回出展したNew City Art Fairは初めての参加でしたが、元々主催者のH.P.Franceが運営しているギャラリー内での展示とあって、通常のだだっ広いフェア会場のブース展示に比べて作品の運送や展示の面で随分安心感ありました。来場者も多過ぎず少な過ぎずでちょうど良く、日本の文化やアートに興味を持って頂いている方にゆっくりと作品を見て頂けたかと思います。スタッフの皆さまにも色々と細かく気配り頂いて、とても居心地よく会期を過ごすことができました。

Art-U roomでは、現在グッゲンハイムで大規模な回顧展が開催中の「具体美術協会」の作家による展示を行いました。'GUTAI'というキーワードに惹かれて見に来て頂いた方も多く、以前日本に作品を見に来られた米国のコレクターやディラーの方々に加え、これまでメールでのみやり取りしていた方々とも実際にお会いできたのが大きな収穫でした。何よりも嬉しかったのは、これまでヨーロッパに比べて美術界やコレクター間で認知度が低かった「具体」が、アメリカでもついに定着したことが実感できたことです。

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Art-U roomの展示。ほぼ一部屋丸ごと使わせて頂いてゆったりとした展示ができました。


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大盛況のオープニング・パーティー。日本酒が振る舞われ皆さんご機嫌です。同じビルの中には10軒程のギャラリーが入っていて、オープニングのはしごもしやすい羨ましい環境。


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こちらはグッゲンハイム美術館で開催中の'Gutai: Splendid Playground' (具体:素晴らしい遊び場所)展示風景。ロタンダと呼ばれる中央吹き抜けの空間には、元永定正が1955年芦屋公園の野外展に出展した「作品」(水)がとても効果的に再構成され、ライト設計のこの美術館の名物である螺旋状の回廊には、一階から上階に向かって年代順に白髪一雄、田中敦子、嶋本昭三ら創立メンバーの作品から松谷武判、ヨシダミノルら第2世代のメンバーの作品まで、映像や文献資料と共に大変見やすく、遊び心一杯に展示されていました。

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同じく具体展の展示の様子。ところでグッゲンハイムでは現在、東南アジアの現代アートに焦点を当てた'No Country: Contemporary Art for South and Southeast Asia'という小規模な展覧会も同時開催されており、そちらにはroomの扱い作家であるミャンマーのアーティスト夫妻、トゥン・ウィン・アウンとワー・ヌによる'Some Piece (of White)'の関連作品が展示されています。またスペース不足のため当展では展示されませんでしたが、タイのカミン・ラーチャイプラサートによる365点組の彫刻作品'Sitting'もこの機にグッゲンハイムのコレクションとして収蔵されました。


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会期中いくつか他のフェアも回ってきました。大御所ギャラリーがずらりと並ぶメイン・フェアのThe Armory Showは、まさかの降雪にもかかわらず大入り満員。アート業界の景気は少しずつ持ち直して来ている様子で、まだまだ投機的な対象となる若手作家まではなかなか回ってこないものの、エスタブリッシュされた作家の作品は既に動き始めている感触。逆にこうした作家のしっかりした作品はマーケットでは品薄で皆探している感じで、会場で出会ったギャラリストやディーラーの方々からは「昔日本に売ったあの作品はどうなってる?」とか「もし出物があったらぜひオファーしてくれ」と度々声をかけられました。


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こちらはソーホーで開催されたVOLTA。個人的には会場の雰囲気も作品の傾向も、このフェアが一番好みだったかな。日本からはMA2 Galleryさんが出展されていました。


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VOLTAにて、Christian Larsenというスウェーデンのギャラリーが展示していたHaruko Maedaという日本人アーティストの作品。ご本人とはお会いできませんでしたが、スタッフの方の話では現在オーストリアにお住まいとのことで、西洋絵画の「メメント−モリ」の系譜と日本的なアニミスム的な世界観が混在したようなとても印象的な作品でした。


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こちらはNew City Art Fair会場からもほど近いチェルシーのIndependent。かなりエッジーな感じで、ここに展示されている作家の中から、次世代のアートを引っぱる人が登場するのかも。


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Independent屋上のラウンジ。降雪から一転春の陽気で、ハドソン川を見晴らしながら休憩するのにちょうどいい感じ。


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チェルシーを縦断するハイライン。所々にアート作品もあり、時間があれば端から端まで歩いてみたかった。


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フェア終了後、車でロングアイランドを横断してイースト・ハンプトンにあるポロック=クラズナー・ハウスを訪ねてきました。ここにはジャクソン・ポロックが同じく画家のリー・クラズナーと結婚後に移り住んだ所で、二人が暮らした家と納屋を改装したアトリエがほぼ当時のまま残されています。本来は冬期11月から4月までは休館しているのですが、ニューヨークに長く住むベテラン日本人ディーラーMさんのご紹介で特別に開けて頂き、館長のヘレンさんに隅々まで案内して頂きました。ポロックは直接具体とは関わりはありませんでしたが、当時具体のメンバー嶋本昭三がポロック宛に送った手紙や具体の機関誌が保管されており、その関係で以前この場所で具体の展覧会が開催されたこともあります。


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こちらが納屋を改装したポロックのアトリエ。床には絵筆から滴った絵の具が鮮やかな色合いで残されていました。


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