ヴー・ザン・タン氏のお墓参り(ハノイ) [Vu Dan Tan]
先月末、2009年に他界したベトナムのアーティスト、ヴー・ザン・タン氏のお墓を訪ねてきました。ヴー(武)氏一族の墓所は、ハノイ中心街から車で小一時間程離れた小さな村にあり、長年手入れをせずにすっかり廃墟となりかけていたものを最近改装したばかりだとのことです。この墓所には、タン氏の祖父の代から三代にわたり立派な石棺が並んでいますが、俳句を愛した風流人のタン氏の好みを良く知っている奥さんのナターシャさんは、装飾のない自然のままの大きな石をひとつ、墓標として置きました。
タン氏の墓石の隣には、有名な劇作家であった父ヴー・ディン・ロン氏の石棺。右手には墓参りの際に皆で会食のできる東屋があり、その裏には小さな池もあります。改築したばかりでまだどこか殺風景な雰囲気ですが、これから木を植えて整えていくそうです。
市内ハン・ボン通りのサロン・ナターシャへ戻り、皆でお昼ご飯。左からタン氏のお母さん、ハノイのカルチャー情報サイト 'Hanoi Grapevine' を運営しているビデオアーティストのブライアンさん、ナターシャさん、そして妹のクオンさん。
サロンのあちこちにはタン氏の作品が飾ってあります。ナターシャさんは現在、香港の Asia Art Archive のサポートを得て、サロン・ナターシャの活動を記録したアーカイブサイトを準備中。まだデジカメが普及していなかった1990年代の展覧会やイベントを記録した貴重な写真を1枚1枚スキャンし作品や関連情報のデータを入力していく、大変手間と忍耐のいる作業です。
昨年シンガポール美術館で開催された、1991年から現在に至る東南アジアの現代アートの足跡を振り返る "Negotiating Home, History and Nation" 展のカタログ冒頭に収録されたヴー・ザン・タンとヘリ・ドノのポートレイト。
ちょうど訪れた時はベトナムのお彼岸の時期だったのか、街のあちこちで祖先の霊に紙のお供え物を燃やして送る焚き火が見られました。
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