荒木真一「ミツバチの地図」 [展覧会 / 他会場]
現在、新宿美術学院内SHINBI GALLERYにて、荒木真一の個展「ミツバチの地図」が開催中です。2020年switch pointでの個展「描かれた明るさ」以来二年ぶりの個展となる本展は、約17点の新作ペインティングで構成されています。個々の作品には特にタイトルは与えられておらず、全体として「ミツバチの地図」とタイトルの下に、インスタレーション的な展示となっています。一点一点見ていくと、山や樹木といった風景に見える作品から、花の内側を拡大した様な抽象的な作品まで、まるでミツバチの視点になって自然の中を回遊している感覚になってきます。東京オペラシティから歩いて5分ほどの場所ですので、近くにお出かけの際はぜひ。
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■ 荒木真一 「ミツバチの地図」
会 場: SHINBI GALLERY 新宿区西新宿3-16-6 新宿美術学院1F
会 期:2022年6月15日〜7月17日
チャン・ユンチア「A Leaf Through History: Familly Tree 家族樹」 [Chang Yoong Chia]
クアラルンプールにて現在開催中の 'ILHAM Art Show 2022' に、チャン・ユンチアが参加しています。ユンチアの出展作品は、バティックの技法を用いた連作 'A Leaf Through History: Familly Tree 家族樹' で、この作品は、昨年1月にロックダウン直前の首都クアラルンプールからジョホール州の田舎町に移住したユンチアが、現地に残るかつてのゴム農園の痕跡に取材して制作したものです。その制作の過程は、ユンチアが奥さんのテオ・ミンワさんと一緒に編集したこちらのビデオクリップにまとめられています。
https://youtu.be/RXzwnTr1uWs
https://youtu.be/RXzwnTr1uWs
20世紀初め、英国により南米からマレー半島に移植されたゴムの木は、主要な換金作物として各地で大規模に植林され、その後日本軍による占領下時代や戦後のマラヤ危機といった歴史的事件を目撃しました。(戦前現地を訪れた金子光晴による「マレー蘭印紀行」でも、日本人が経営するゴム園の様子が印象的に描かれています。)その後ゴムの木はパーム油用のアブラヤシという別の換金作物に取って代わられ、今では僅かにその面影を残すばかりとなっています。
この作品では、キリストの磔刑図を彷彿させる姿で描かれたかつてのゴム園の労働者たちの姿が連作で描かれ、マレーシアの歴史の一幕を飾りながらも、人々の記憶から消え去りつつある一つの時代に捧げられたオマージュとなっています。
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■ ILHAM Art Show 2022
会 場:ILHAM Gallery
会 期:2022年5月17日 〜 10月23日
ヴェネツィア・ビエンナーレ開幕! [Pinaree Sanpitak]
自身の展示作品の前に立つピナリー・サンピタック (photo by Nopadon Kaosam-ang)
久々の規制なきゴールデンウィークとなった今年の連休、皆さまいかが過ごされましたでしょうか? GWが始まる少し前、4月23日にイタリアにて第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展が開幕しました。セシリア・アレマーニがキュレーションしたメイン展示 'The Milk of Dreams' に出展したピナリー・サンピタックも、オープニングに参加し、多くのゲスト来場者達と交遊を深めた様子です。
コロナの影響による延期の他、ウクライナへの軍事侵攻によりロシア館が不参加となるなど波乱のあったものの、これまでマイノリティーであった女性アーティストを大々的に取り上げた今回のビエンナーレは、長い歴史を持つヴェネチア・ビエンナーレ史上、エポックメーキングな出来事として、多くのメディアでも取り上げられている模様です。
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■ 第59回 ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
会 期:2022年4月23日〜11月27日
カミン・ラーチャイプラサート個展「Pure Perception? (Debris)」 [Kamin Lertchaiprasert]
今月8日より、バンコクのラチャダムヌン・コンテンポラリー・アートセンターにて、カミン・ラーチャイプラサートの個展が始まりました。「Pure Perception? (Debris)」と題された本展は、知覚や感情に惑わされない純粋な現実をいかに捉えることができるか、という作家が長年テーマとする題材を扱ったもので、作家自身が日々の生活の中で、そのような真の現実を垣間見た瞬間を絵画にしたペインティング約50点が展示されています。下のヴァーチャル・リアリティのツアーサイトでも展示を見ることができますので、ご興味のある方はぜひ。
なお、この「Pure Perception?」シリーズの他の作品は、今後本年中にバンコクやチェンマイの三ヶ所の会場で引き続き展示される予定です。
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■ カミン・ラーチャイプラサート "Pure Perception? (Debris)"
会 場:ラチャダムヌン・コンテンポラリー・アートセンター、バンコク
会 期:2022年3月8日 〜 4月20日
詳 細:https://www.rcac84.com/exhibition/นทรรศการ-การรบรทบรสทธ-เศ/ピナリー・サンピタック、ヴェネツィア・ビエンナーレに参加 [Pinaree Sanpitak]
Pinaree Sanpitak at Nokono-island, Fukuoka (photo by Kiyoyuki Sawai)
本年4月に開幕する第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展に、ピナリー・サンピタックが参加することが公式発表されました。サンピタックが出展するのは、本展のアーティスティック・ディレクター Cecilia Alemaniがキュレーションするメイン展示 'The Milk of Dreams' のセクション。この展示には、58ヶ国より213名(組)のアーティストによる1400点以上もの作品が展示される予定となっています。
本展の大きな特徴は、近年美術界でも注目を集めるジェンダーギャップの問題を反映してか、女性アーティスト中心の人選となっていることと、20世紀初頭から現代まで幅広い世代のアーティストが共に展示されること。作家リストには、本展のタイトル 'The Milk of Dreams' の元となった著述を残したレオノール・キャリントンやドロテア・タニング、ウニカ・チュルンといったシュールレアリスム系の女性作家からレベッカ・ホルン、バーバラ・クルーガー、ルー・ヤンといった現代アート作家、さらにイヌイットの画家Shuvinai Ashoonaや日系アメリカ人の陶芸家トシコ・タカエズといった幅広い分野のクリエーターの名前が並んでいます。
本展の大きな特徴は、近年美術界でも注目を集めるジェンダーギャップの問題を反映してか、女性アーティスト中心の人選となっていることと、20世紀初頭から現代まで幅広い世代のアーティストが共に展示されること。作家リストには、本展のタイトル 'The Milk of Dreams' の元となった著述を残したレオノール・キャリントンやドロテア・タニング、ウニカ・チュルンといったシュールレアリスム系の女性作家からレベッカ・ホルン、バーバラ・クルーガー、ルー・ヤンといった現代アート作家、さらにイヌイットの画家Shuvinai Ashoonaや日系アメリカ人の陶芸家トシコ・タカエズといった幅広い分野のクリエーターの名前が並んでいます。
ピナリー・サンピタックの作品が展示されるのは、アレセナーレ会場のコルデリエ。このセクションでは、ジブリアニメ「ゲド戦記」の原作者であるアーシュラ・クローバー・ル=グウィンの世界観にインスパイアされて選ばれた作品が展示される予定となっています。 コロナの影響で一年延期されての開催となる今年のヴェネチア・ビエンナーレ。開幕までにはコロナが収束し、無事に開催されることを祈っています。
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■ 第59回 ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
会 期:2022年4月23日〜11月27日
冬季休廊のご案内 [room情報]
稲垣智子個展「ホワイトアウト」 [稲垣 智子 / Inagaki Tomoko]
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私、稲垣智子は、映像、インスタレーション、パフォーマンスなどのメディアを使用し、日本社会、ジェンダーにフォーカスした作品を主に展開しています。個展「ホワイトアウト」は、作家が2021年2月に木祖村でレジデンスをしていた時に考えたタイトルです。雪や雲などによって視界が白一色となり、識別不能となる現象を指します。雪の積もる村の美しさと自然の厳しさの中で、この言葉を見つけ、コロナ下の社会を模索する私たちを重ね合わせました。展示は、平面作品、映像、パフォーマンスを組み合わせて展開します。
そして、CASがこの場所最後の展覧会となることを受けて、オマージュも兼ねてパフォーマンスを行います。
(文:稲垣智子)
稲垣智子展 「ホワイトアウト」
キュレーション:中西美穂 (文化研究者)
オープニングレセプション、パフォーマンス:11月13日(土)17:00~¥500(1ドリンク付き)
アーティストトーク(聞き手 中西美穂):11月27日(土)16:00~(参加費¥500)
展覧会詳細:http://cas.or.jp/2021/INAGAKI/index.html
カミン・ラーチャイプラサート個展、VR空間にて開催。 [Kamin Lertchaiprasert]
来たる10月2日より、カミン・ラーチャイプラサートの個展が、作家初の試みとして仮想現実空間上にて開催されます。本展では、作家が日々の瞑想を通して得た「無」のイメージを形象化した膨大な数のドローイングより10点を選んで版画化した作品が、同じく作家自身がイメージした空間をデジタル化したVR空間およびメタバースにて展示されます。また、展示作品は、今話題となっているNFT(非代替性トークン)技術を応用したアート作品としても紹介される予定です。
展覧会初日には、FacebookとYoutubeを通して作家のライブトークも配信される予定ですので、ご興味のある方はぜひ下記リンクよりご参加下さい。
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■ カミン・ラーチャイプラサート" " (Emptiness)
会 期:2021年10月2日 〜
主 催:JOJO KOBE ART GALERY & PALETTE ARTSPACE
オープニングイベント:10月2日 タイ時間8:00PM~(日本時間6:00PM~)
Facebook page: https://www.facebook.com/jojokobeartgallery
Youtube channnel : https://www.youtube.com/channel/UCxOSdW6TP87rSTA32yPHRug