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Singapore Art Week 2014 [海外出張記]

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マリーナベイサンズで開催されたArt Stage Singaporeの会場風景。

シンガポール出張より戻って参りました。先週シンガポールでは、アートフェアArt Stage Singaporeの開催に合わせて、数々の展覧会やアートイベント、オークション等が行なわれました。とても全ては回りきれない数でしたが、二日半の間に駆け足で巡った様子を紹介致します。


今年4回目を迎えたArt Stgae Singaporeは、Art-U roomが出展した2011年の初回時に比べて随分フェアとして定着した印象を受けました。今回のフェアの最大の特徴は、これまでのギャラリー単位のブース展示に加え、「中国」「インド」「東南アジア」という風に、国/地域ごとに「プラットフォーム」と呼ばれる展覧会スペースが設けられたこと。フェアのキャッチフレーズである「WE ARE ASIA.」のスローガンと共に、目下世界中で乱立気味のアートフェアの中にあって、アジアの現代美術に特化した姿勢を示し、競合するアートバーゼル香港ほかのフェアに対して一層の差別化を図ろうとする主催側の意図が強く感じられました。


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「東南アジア・プラットフォーム」に展示されたWah Nu & Tun Win Aungによるインスタレーション。昨年グッゲンハイム美術館での「No Country」展に出展された作品の別バージョン。

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同じく「東南アジア・プラットフォーム」に展示されたカミンの作品。昨春チュラロンコーン大学のギャラリーで展示されたプロジェクト「Non - Being by Itself」が再現されました。


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森美術館チーフ・キュレーターの片岡真美が担当した「日本プラットフォーム」では、宮島達男、米田知子、中西信洋らの作品が展示されていました。


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今回のフェアの中でも特に注目を集めていたのはIkkan Art Internationalのブース。ちょうど昨秋より開催中のシンガポール・ビエンナーレで人気を博しているteamLabの新作も展示されており、最先端の技術とプログラミングを駆使した映像に、絶えず大勢の人が食い入るように見入っていました。



フェアを終了時間ぎりぎりまで見た後、シンガポール美術館の近くにあるYavuz Fine Artにてピナリー・サンピタックの個展「Cold Cuts」のオープニングへ。真っ白な空間に磨き上げられたステンレスの輝きを放つのは、それぞれに異なる大きさと形をした乳房型の骨組。実際に植物を這わせてトピアリーとして使うのも面白いですが、こうしてそのまま彫刻として眺めるのも素敵です。

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昨年のBSCマーケットにて展示された棚も、こうして素敵にアレンジされて飾られていました。



翌日、シンガポール・ビエンナーレを再度ざっと見直してから、近くの2902 Galleryで開催中のオノデラユキ個展へ。あいにくオノデラさん本人とは入れ違いで会えませんでしたが、思い掛けずシンガポールで久々に作品をまとめて見れてラッキーでした。

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Yuki Onodera "The Sanctuary of the Topsy Turvy" at 2902 Gallery



その後8Qに入っている日本料理店でいささか残念な昼食を済ませた後、タクシーを拾って中心街よりやや離れたアート・コンプレックスGuillman Barracksへ。広い敷地内におよそ20軒のギャラリーが点在する中、先ずは友人のシンガポール人アーティスト、ソンミン・アンの個展「Logical Progressions」を開催中のFOST GALLERYを訪問。ソンミンは3年程前よりベルリンに拠点を移して活動していますが、ちょうど個展に合わせてシンガポールに里帰り中だったので、連絡を取り合ってギャラリーで会うことができました。

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会場にて作品の説明をするソンミン(右)。今回の個展の目玉となるこの映像作品は、かつて正式な音楽教育を受けたことのないソンミン自身が練習を重ねてバッハの「平均律クラヴィアータ曲集」中の一曲をチェンバロでマスターし、左側のスクリーンでは曲の始めから普通に、右のスクリーンでは曲の最後から逆に演奏したものを逆再生したものと、シンメトリックな構造を持つように編集されています。(下のリンク先で映像を見ることができます。)

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会場には他に、五線譜に規則正しく別の線を描き加えたミニマルなドローイング作品も展示されていました。こちらの写真は、ソンミンが以前、茨城のレジデンスプログラムARCUSに滞在した際に制作したもので、滞在先の守谷市を散策中に見つけた家のカラフルな外観に合わせて、おもちゃの鉄琴を同じ色に彩色した作品。

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ソンミンと別れた後、ギルマン・バラックス内の別のギャラリーを見学。広々としたスペースでそれぞれに見応えのある展覧会が開催されていましたが、中でも印象的だったのは南洋理工大学附属のCCA (Centre for Contemporary Art, Singapore) で開催されていた「Paradise Lost」展。トリン・T・ミンハ、フィオナ・タン、ザリーナ・ビーミという3名のディアスポラ女性アーティストの映像作品を上映していて、歴史あるハブ都市シンガポールで見ることもあってか、日本で見るよりも一層生々しい感覚が伝わってきました。

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