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Making of Beyond... [Kamin Lertchaiprasert]

カミンの「Beyond...」展もいよいよ中盤に差し掛かりました。明日日本に到着予定のカミンに先程電話で確認したところ、タイの情勢は今の所落ち着いていて、予定通り今夜のフライトで成田に向かうとのことです。

さて、今回の展覧会で一番良く質問されるのは素材の事。ブロンズ製なのですが、少し茶色み掛かっているため木彫と思われる方も多いようです。鋳造法については、カミンから「昔ながらの仏像を造るやり方で作った」とは聞いているのですが、現場に立ち会った訳ではないので詳しいプロセスを尋ねられると返事に窮してしまいます。そこで予めカミンに頼んで製作の模様を写真に撮っておいてもらったものを先日メールで送ってもらいました。写真だけでは何の工程なのか今ひとつ分からない部分もありますが、折よく先日のアートフェア東京に来場された彫刻家の諸熊仁志さん(とてもユニークなブロンズ彫刻を作られる方です)から頂いた解説を参考に、以下大まかな手順を紹介してみたいと思います。


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1.今回のブロンズシリーズは、数ある鋳造法の中でもLost-wax castingという方法で作られました。まずはワックス(蝋)で原型となる像を作りますが、このシリーズはエディション7部と作家用1部の計8部があるので、まずは各像毎にワックスで同じ像を8体ずつ準備することとなります。この像は頭の部分は別に鋳造するようで、また、本体の上部には後で金属を流し込むための通路が付けられています。











DSC06566.jpg2. 次いでにワックスでできた原型を牛糞で覆います。その後灰でできた粘土を被せますが、乾燥を待ちながら二回、三回と丁寧に重ねていきます。上部の金属の注ぎ口だけは外から見えるようにしてあります。











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3. 最後に籾殻の混じった土で覆われまるで象のウンチみたいになった塊を並べて火に掛けます。そうすると中のワックスが溶けて消え、元の像の形をした空洞ができます。

















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4. 職人さんが流し込むための金属を準備しています。像によっては用いる金属の成分を変えているものもあります。













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5. 溶けた金属を注ぎ口からジュッと流し込みます。














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7. 熱が冷めた頃を見計らって鋳型をガンガン壊します。














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8. すると中から焼き立てほやほやの像が。














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9. 最後に別に鋳た頭部を溶接し、磨きを掛けて表面を滑らかにします。



















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10. こうして完成したのがこちらの像。仕上げにワックスで着色し、部分的に金箔で装飾してあります。全24種ある像の中には、他にも千手観音風のものや、六波羅密寺の空也上人像風のものもあったりしますので、ぜひギャラリーにてご覧下さい。

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コメント 2

michimichi

鋳物の鋳造工程、頭ではわかっているつもりでしたが
実際に写真とともに解説していただけると、ぐっと
よくわかった氣になります!

この像、頭と胴体は別々につくられたんですね〜。。なるほど。。。

後から金属を流しこむために通路が付けられている、その状態を見られたのも新鮮!!
なんか、私も関わったぶん、人ごとでない氣がして(笑)

カミンさん、ぶじに来日されそうで何よりですね〜♪♪




by michimichi (2009-04-19 22:27) 

kiyo

michimichiさん、先日はプレゼントありがとうございました。木次乳業の牛乳とヨーグルト、どちらも味が濃く、それでいてクセが無くてとても美味しかったです。

これから数時間仮眠して、始発のリムジンで成田にカミンとウティットさんを迎えに行ってきます。今回二人は我が家に一週間滞在しますが、一癖あるおっさん三人の共同生活…どうなることやら少々心配です。金曜のレセプション、ご都合付きましたらぜひご出席下さい。

P.S. 全盛期の生コステロを拝まれたとは羨ましい。EBTGも「acoustic」というアルバムの中で「Alison」をカバーしていますよ。

by kiyo (2009-04-20 01:14) 

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